せいのもとで
lifescare
会場:SHSEIDOGALLERY
会期:2014年9月5日~10月12日
だいぶ前の展示のことですが・・・。
資生堂が運営している銀座のギャラリーに行って参りました。
今回は「万物資生」の企業理念をテーマとした企画展でした。
企画展開催に当たり、植物の命を写しとったかのような繊細な木彫りの彫刻をつくる須田悦弘さんをキュレーターに迎え、
生命の尊さを表現するアーティストの作品を展示しています。
まず作家のご紹介。
須田悦弘さん
1969年- 山梨県出身。
現代美術家、彫刻家。
本物と見まがうほど精巧な植物の彫刻を制作し、通常の展示会場ではなく、
なにげないコンクリートの隙間からそっと展示するのが特徴。
雑踏に生えるたんぽぽのように強い生命力と一輪挿しの花のようなあやうい可憐さを感じます。
原美術館、ベネッセアートサイト直島、国立国際美術館などに常設展示されている。
また氏の母校でもある多摩美術大学の客員教授でもある。
制作風景
この制作風景を見ていると本当に感心します。この精巧にできた花を立派に飾ると、この作品の意味合いもまた変わるのでしょうね。
そう考えると、展示方法は大事なんだなあ、と考えさせられます。
志村ふくみ・志村洋子
志村ふくみさん(1924年9月30日-)は人間国宝で、洋子さんはその娘です。
ふくみさんは当時農民のものだった「織物」を芸術の域に高めた、と称賛され、人間国宝と選ばれました。
現在は京都にアトリエを構え、次世代に織物、染色を伝えていらっしゃるようです。
非常にHPがおしゃれです。
珠寳(しゅほう)
銀閣慈照寺 花方。
神戸出身の女性でもともと、お花はしていたそうですが、阪神大震災を経験したことがきっかけで本格的に花道の道に入ります。
その後、彼女の流派の原点が足利義政公であることを知り、古い伝書を調べていきました。
そのレポートを銀閣寺に提出したことがきっかけで、銀閣寺の花方に任命されます。
彼女のインタビューをいくつか読んでいて、
非常にいいことを仰っていました。
「形や固定観念に縛られず、目の前のことに本当に向き合うことが大事。」
まさにその通りですね。しかし、頭の中ではわかっていてもなかなか実行できないこともあります。
目の前のことに素直に向き合える人物になりたいものです。
宮島達男
1957年-
1988年ヴェネチア・ビエンナーレに招待され、国際的に有名となった現代美術家。
LEDによる作品や路上パフォーマンスで、
「それは変わり続ける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」「それは永遠に続く」をテーマとした作品を制作しています。
クリスティアーネ・レーア(christianeloehr)
1965年、ドイツ、ヴィースバーデン生まれ。
通常彫刻に使用されない、植物の種子や茎、馬の毛や犬の毛を用いて、立体作品を制作し、
その形態や空間を研究しています。
「レーアの制作の本質は、素材そのものが本来的に備えている構造や機能をじっくりとそして正確に見極め、それらが視覚的により増幅されるように再構築することです。素材や空間との忍耐強い対話を通して、彼女は世界の背後にあって自然や有機物を成立させている数学的な法則や力、秩序や建築的な構造を探求しているのです。」(taguchi fine artより)
以上からわかるように、単に「芸術家」として活動している人以外の人も今回参加されていて、
芸術の幅広さ、芸術と伝統の線引きは何か、芸術とはどこから始まるのか、根本的に考えさせられる展示でもありました。
展示は暗い会場に作品が散りばめられており、会場自体は狭いのですが、空間の凹凸を利用して、互いが邪魔しないように工夫されて展示しているな、という印象でした。
展示は宮島達男さんの展示が面白くて見入ってしまいました。
レーアさんの展示は今回記事を書くにあたり、調査して初めて面白いことされているアーティストと知りました。
彼女の作品は予習してから臨んだ方がより面白かっただろうなと、勉強不足で反省です。
銀座の雑踏の地下に存在する素敵なギャラリーでした。
◆参考◆
須田悦弘(インタビュー)
しむらのいろ
珠寳(インタビュー)
珠寳(インタビュー2)
宮島達男オフィシャルHP
宮島達男展
クリスティアーネ・レーアオフィシャルHP
クリスティアーネ・レーア(taguchi fine art)